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アニメ批評:「よみがえる空」 残酷な現実のエンターテインメント

◇残酷な現実のエンターテインメント 大人の仕事のきらめき

 人間にはどんなに頑張ってもできないことがある。この残酷な現実をエンターテインメントの題材とした作品は決して多くない。  「よみがえる空」は自衛隊の航空救難団を題材とした“レスキューもの”だ。最終巻のDVD7巻はテレビ未放送の第13話を収録したスペシャル版で、この番外編で完結となる。 (パッケージ画像はこちら)

 “レスキューもの”といえば、極限状態における主人公のヒロイックな活躍を想像する人が多いだろう。しかし、「よみがえる空」はそんなヒロイズムに背を向ける。救難ヘリの操縦士である主人公たちがいかに努力をしても、要救助者たちの何人かは命を落とす。それは自然という巨大な壁に敗れ続ける日々といってもいい。しかし、その残酷な現実の中に、ささやかだけれど確実にきらめく「仕事を辞めない理由」。そこには社会人であれば誰もが多かれ少なかれ経験したことのある“等身大”のカタルシスがある。大人向けを標榜したアニメは多いが、本作は大人ならではの感覚に訴えるという点で、まさに大人向けのエンターテインメントといえる。

 「機動戦士ガンダム0080」(監督)などで知られる高山文彦がシリーズ構成。これまでの作品と同様、市井の人々の日常感覚を大切にした物語を書いた。「ガンパレード・マーチ〜新たなる行軍歌〜」の桜美かつしが監督を務め、地味な題材を正面から映像化した。

 ところで、主人公と遠距離恋愛をするヒロインは小さな出版社の営業職。ちょっと珍しい着眼点だが、これは若き日に翻訳家を目指したという高山のし好の反映ではないか?【藤津亮太】

よみがえる空 RESCUE WINGS バンダイビジュアル 5250円


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Last-modified: 2006-11-14 (火) 15:05:00 (6394d)